就労支援B-GO! の読みもの

就労継続支援B型からA型へ移行相談と準備

就労継続支援B型からA型へ移行相談と準備
働き方の希望を紙にまとめながら、支援員と相談する成人の架空の水彩画
希望や困りごとを、相談しながら整理します。

就労継続支援B型からA型へ移るには、採用と福祉の利用手続きを分けて確認します。今のB型を先に辞めず、支援員や市町村に希望を伝えましょう。

この記事で分かること

  • A型へ移るときに変わる雇用契約と働き方
  • 今のB型・市町村・候補のA型に聞くこと
  • 見学から利用開始までの準備と、合わないときの相談

就労継続支援B型からA型へ移るときに変わること

就労継続支援B型からA型への移行は、今の働き方を見直す選択肢です。B型に通っているから、自動的にA型へ切り替わるわけではありません。A型での働き方が自分に合うかを考え、採用と福祉の手続きを確かめます。

就労継続支援B型からA型へ移るときに変わること

厚生労働省は、A型とB型をそれぞれ異なるサービスとして説明しています。A型は、支援を受けながら雇用契約に基づいて働くことが中心です。B型は、雇用契約によらず作業などに取り組む機会を提供します。雇用契約とは、働く内容や賃金などを雇う側と約束することです。

雇用契約を結ぶA型へ移るときの比較
確かめること今のB型候補のA型
働く約束今のB型利用契約や支援の計画を確認する。候補のA型福祉の利用に加え、雇用契約の条件を確認する。
受け取るお金今のB型作業の対価である工賃の決め方を聞く。候補のA型賃金の決め方、働く時間、支払日などを聞く。
通い方今のB型今できている日数や時間を整理する。候補のA型募集している勤務日数や時間、自分に必要な支援を比べる。
利用の手続き今のB型今の受給者証や利用契約を確認する。候補のA型利用変更の手続きと、採用の手続きを別々に確かめる。

「A型へ移ること」と「就労移行支援」は別

ここでいう「移行」は、B型からA型へ利用先を切り替えることです。一方の「就労移行支援」は、企業などへの就職を目指す別の福祉サービスです。名前が似ていても、同じ意味ではありません。

B型から必ずA型、次に一般企業という順で進む決まりではありません。どの働き方を考えるかは、本人の希望と必要な支援をもとに相談します。サービスの種類を先に比べたい方は、A型・B型・就労移行支援の違いもご覧ください。

今の働き方を整理して相談する

A型の求人を探す前に、今のB型での一週間を振り返ってみましょう。「できる」「できない」の二つに分けるより、何があると取り組めるかを書くと、次の相談につながります。

今のB型での経験を、A型の相談に持っていく
  1. 振り返る取り組みやすかった作業を思い出す
  2. 助けを整理見本・休憩・移動など、続ける条件を書く
  3. 相談するA型で試したい仕事と助けを今の支援員に伝える
今の働き方を整理して相談する

例えば、作業の手順を口頭だけで聞くと迷うけれど、見本があれば進められることがあります。疲れを感じる時間や、混雑した道を通る負担も、働き方を考える材料です。これは利用の合否を決める点数表ではありません。

相談前に書いておく自分のメモ

空いている所から書けます

  • 今のB型では、どんな作業に取り組んでいますか。
  • 通う日や時間は、どのくらいで続けやすいですか。
  • 説明や見本、休憩など、あると助かることは何ですか。
  • どんな場面で疲れたり、困ったりしやすいですか。
  • A型を考えた理由と、まだ心配なことは何ですか。

全部を上手に説明する必要はありません。今の支援員と一緒に、できていることや困りごとを確かめてもよいでしょう。本人が伝えたいことを中心にし、家族や支援者の考えだけで進めないことが大切です。

厚生労働省の合理的配慮の指針は、本人と事業主が話し合うことを基本にしています。合理的配慮とは、障害による働きにくさを減らすための工夫です。望む方法を自分で決めにくい場合でも、何に困っているかを伝えることができます。

例えば「同時にたくさん言われると分からなくなる」という困りごとを伝えます。そのうえで、順に説明してもらう方法や、手順を紙で確認する方法を相談します。この記事の例で、その支援を受けられると決まるわけではありません。

就労選択支援も相談できる

働き方や必要な支援を整理する仕組みとして、就労選択支援があります。厚生労働省は、実施の通知や利用の扱いを示すQ&Aを公表しています。A型を使う予定の時期や今の利用状況を伝え、必要な手続きや相談先を市町村へ確かめましょう。

制度の名前だけで自分に必要かどうかを決めず、就労選択支援の説明も参考にしてください。相談している間に、本人の希望が変わることも含めて、支援者と確認していきます。

相談先を分けて進める

切り替えを考えたら、今のB型の支援員や相談支援専門員に伝えましょう。相談支援専門員は、福祉サービスの利用計画や関係先との調整を支える人です。今の支援を続けながら、次に確かめることを一緒に整理します。

相談先を分けて進める
図利用の相談と、採用の確認を分ける
  1. 今のB型・相談支援希望、現在の通い方、必要な手助けを整理する。
  2. 市町村の窓口A型の利用条件、受給者証や計画の変更を確かめる。
  3. 候補のA型作業、求人、選考、雇用条件を確認する。

編集部が相談の役割を整理した図です。実際には関係先が行き来して調整します。全国共通の手続き順を示すものではありません。

福祉の窓口で確認すること

市町村では、自分がA型を利用するための条件に当てはまるかを相談します。今のB型から変更したいことと、候補先や利用したい時期を伝えましょう。必要な申請や書類は、先に確認しておくと予定を合わせやすくなります。

受給者証は、使える福祉サービスなどが書かれた証明書です。B型の受給者証を持っているだけで、別のA型をそのまま使えると判断しないでください。どの手続きが必要かを、現在の証の内容と一緒に窓口へ確かめます。

神奈川でも相談先は住んでいる市によって異なります。横浜市はA型の窓口として各区の福祉保健センターを案内しています。藤沢市は、利用の申請窓口と地域の相談支援センターなどを公表しています。自分の住所の窓口から確認しましょう。

求人や応募の相談はハローワークなどへ

A型での雇用については、求人の条件や応募方法も確かめます。ハローワークは、仕事を探すための公的な職業相談窓口です。神奈川の窓口は労働局の一覧で探せます。紹介が必要かを含め、希望する求人の応募方法を確認してください。

求人への応募と、福祉サービスの申請は別の手続きです。A型の採用担当へ聞いた返事だけで、市町村の利用手続きまで済んだと考えないようにしましょう。反対に、市町村へ相談しただけで、候補先の採用が決まるわけでもありません。

聞く相手ごとに、質問を分ける
相手持っていく質問の例
今の支援員・相談支援専門員持っていく質問の例今の通い方をどう説明すればよいですか。候補先の見学に向け、どんな調整ができますか。
市町村の障害福祉窓口持っていく質問の例B型からA型へ変えたい場合、今の受給者証や利用計画はどう扱いますか。必要な書類は何ですか。
候補のA型・職業相談窓口持っていく質問の例募集している作業と勤務条件は何ですか。応募や見学、選考はどのように進みますか。

A型の見学で採用条件と支援を確かめる

候補が見つかったら、見学できるかを先に尋ねます。見学と選考、採用後の仕事は、同じものではありません。それぞれの目的と、何を準備するかを確かめてから進めましょう。

A型の見学で採用条件と支援を確かめる

見学では「作業ができそうか」と「その働き方を続けられそうか」を分けて考えます。作業が楽しくても、行き帰りで疲れ切ってしまうことがあります。反対に、初めての作業でも、説明や見本があれば取り組めるかもしれません。

作業と働く時間を一緒に聞く

  • 実際に担当する作業と、教わる方法。
  • 勤務する曜日、始まる時間、終わる時間。
  • 休憩の取り方と、困ったときに相談する相手。
  • 通院がある日の相談方法。
  • 通う方法と、交通費を自分で負担する範囲。

この質問は、自分に合うかを考えるための例です。どのA型も同じ支援や時間に対応するという意味ではありません。返事はメモし、今の支援員とも比べてみてください。

体験や実習を案内された場合は、その位置づけも聞きます。見学の一部なのか、採用の選考なのか、雇用契約を結んで働くのかを分けましょう。日数、費用、賃金や工賃の扱いを、始める前に確認します。

雇用条件は書面などで確認する

厚生労働省は、労働契約を結ぶ際に、賃金や労働時間などの条件を明示すると説明しています。口頭の説明だけで分からない所は、労働条件通知書などを見ながら確かめましょう。労働条件通知書は、雇う側が働く条件を伝える書類です。

雇用条件で見落としたくない項目
項目確かめる内容
契約の期間確かめる内容期間の定めがあるか。更新の条件や上限はどうなっているか。
場所と作業確かめる内容どこで何をするか。場所や業務が変わる範囲はどこまでか。
勤務と休憩確かめる内容働く曜日や時間、休憩、休日、時間外の仕事の扱い。
賃金確かめる内容計算の仕方、支払日、控除されるものがあるか。
休む・辞めるとき確かめる内容連絡先や手続き、契約で決められたこと。

働く場所や業務の変更範囲なども、労働条件の確認項目です。採用前の求人票と、契約時の書類に違いがあれば、どこが変わったのかを尋ねてください。分からない言葉を、そのままにして署名を急ぐ必要はありません。

賃金は、勤務する地域の最低賃金の案内も参考にします。最低賃金は、法律に基づく賃金の下限の仕組みです。金額は改定されるため、神奈川で働く場合は神奈川労働局の最新案内を確認してください。求人の月額だけで、手取りまで同じと考えないようにしましょう。

必要な手助けは具体的な場面で伝える

「どのくらいの支援が必要か」は、病名だけでは伝わりません。どの場面で困るかと、今まで助かった工夫を伝えます。説明をメモでもらう、予定の変更を早めに知らせてもらうなど、自分に必要なことを相談しましょう。

合理的配慮は、本人と職場が話し合って考えるものです。希望の方法がそのまま全部実施されるという保証ではありません。別の方法を提案された場合も、困りごとを減らせそうかを確かめてください。

手続き・日程・生活費を合わせて確認する

採用の見通しが立ってきたら、利用の手続きと開始日を調整します。必要な決定や書類がいつまでにそろうかを、市町村と候補先へ確認しましょう。順番や必要書類を、一つの事業所の説明だけで全国共通だと考えないでください。

手続き・日程・生活費を合わせて確認する

関係する日付を一つのメモにする

  • 候補先の見学や選考の日。
  • 市町村へ相談・申請する日と、追加書類の期限。
  • A型の雇用契約で確認する開始日。
  • 福祉サービスとして利用を始められる日。
  • 今のB型の契約を確認する日と、最後に通う予定日。

全部の日付が最初から決まっていなくてもかまいません。未定の所を空欄にし、誰にいつ確認するかを書いておきましょう。採用日が決まっただけで、福祉の利用開始日も同じだと決めつけないことが大切です。

関係先へ伝える内容は、本人と確認します。支援者同士で情報を共有する場合も、何を誰に伝えるのかを確かめましょう。自分で説明しにくいときは、同席や伝え方を相談できます。

受け取るお金と払うお金を分ける

A型の賃金があるからといって、その金額がすべて使えるお金になるとは限りません。勤務時間や日数、控除、交通費などの条件を確認します。保険の加入や保険料などは、自分の雇用条件に応じて雇う側へ確かめてください。

さらに、福祉サービスの利用料と、食事などの実費も分けて整理します。厚生労働省は、所得に応じた利用者負担の上限と、所得を判断する世帯の範囲を示しています。利用の変更でどんな確認が必要かは、市町村へ相談しましょう。

生活費を考えるときの分け方
種類聞いておくこと
A型の賃金聞いておくこと勤務予定に沿った計算方法、締め日、支払日、控除。
福祉の利用料聞いておくこと自分の受給者証や所得区分での負担、変更時の確認。
自分で払う費用聞いておくこと食事、交通、作業に必要な物など。何が必要かを事業所へ聞く。
ほかの制度聞いておくこと年金などを受けている場合、変更の相談が必要かをその制度の窓口へ聞く。

他の人の手取りや、全国の平均額をそのまま自分の予定に入れないでください。まだ分からない費用は「未確認」とし、説明を受けてから埋めます。B型の工賃の見方と比較する場合も、働く時間や費用の条件をそろえましょう。

合わないときも次の支援を相談する

A型を見学したり応募したりしても、今は合わないと感じることがあります。条件が違った、通い方に無理がある、必要な支援が合わないなど、理由を分けて整理してみましょう。

候補が合わなかったときの次の相談
  1. 分ける仕事内容・勤務条件・通い方・支援のどれが合わなかったか
  2. 相談する別の候補や今のB型で続ける選択肢を相談する
  3. 残す次に見学や面談で聞きたいことを書く
合わないときも次の支援を相談する

「自分には無理だった」と全部をまとめるより、どの条件が合わなかったかを考えます。別の候補を探す、今のB型で支援を続けるなど、次に何を相談するかが見えてきます。

採用されなかったら確認できたことを残す

応募の結果は、福祉サービスの利用可否とは別のものです。選考で聞かれたこと、勤務条件、今後相談したいことを整理しましょう。希望する作業や必要な支援が変わったなら、今の支援者や職業相談の窓口にも伝えます。

候補先が一つ合わなかっただけで、ほかの事業所も同じとは言えません。病名や障害の種類で、事業所の良し悪しを決めないでください。自分の希望、作業、通い方、支援の内容を具体的に比べます。

A型の利用後につらくなったら

働き始めてから困ったときは、職場の相談相手に具体的な場面を伝えます。体調の心配は医療の相談先へ、福祉の利用を見直したいときは市町村や相談支援専門員へ相談します。働き方や支援の調整を、関係する相手と考えましょう。

B型へ戻ることを考える場合も、空きや利用の手続き、受けられる支援を確かめます。「前に使っていたから、いつでも同じ所へ戻れる」とは限りません。今の雇用契約を終えることと、次の福祉サービスを使うことは分けて相談してください。

事業所を探し直すときは、神奈川の事業所検索から地域と種類を確かめられます。公表情報には対象時点があります。そこに載っていることは、今募集していることや採用されることの証明ではありません。最新の求人や受け入れ状況は、候補先へ確認してください。

B型からA型への移行でよくある質問

どのくらい通えばA型へ移れますか?

B型に通った期間だけで、一律に決まるものではありません。自分に必要な支援と、A型の募集・勤務条件、市町村の利用条件を分けて確かめます。「一定期間を通えば自動的に切り替わる」と考えず、今の支援員へ希望を伝えてください。

移行で別々に確かめること
候補のA型
採用の条件と働き方を聞く
市区町村
福祉サービスの条件と変更手続きを聞く
今のB型
働き方の希望と、次に必要な支援を整理する
B型からA型への移行でよくある質問

B型の支援員がよいと言えば使えますか?

支援員との相談は大切ですが、それだけで候補先の採用や福祉の支給決定が済むわけではありません。候補のA型へは採用条件を、市町村へは利用の条件や変更手続きを確認しましょう。横浜市の例では、A型の窓口として各区福祉保健センターが案内されています。

A型と就労移行支援は同じものですか?

別のサービスです。A型は支援を受けながら雇用契約に基づいて働くことが中心です。就労移行支援は、企業などへの就職に向けた訓練や支援を行います。この記事の「移行」は、B型からA型へ切り替える意味で使っています。

A型が合わなければB型へ戻れますか?

戻ることを考えた時点で、次の利用先や市町村へ相談してください。空き、必要な支援、利用変更の手続きなどを確かめる必要があります。前のB型へ自動的に戻れる保証ではありません。今の契約を終える日と次に使える日も、一緒に調整します。

次にすること

今の支援員へ「A型への切り替えを考えている」と伝えてみましょう。このページのメモを使い、希望する作業や時間、困りやすい場面を書くだけでも、相談を始める材料になります。

候補先の見学では、見学で聞く質問のガイドも参考に、応募や雇用の条件を追加して確認してください。