発達障害の自己理解を就職に生かすには?得意・苦手と配慮を整理

発達障害の自己理解を就職に生かすには?得意・苦手と配慮を整理

就職に向けた自己理解は、自分が働きやすい条件を知ることです。

得意・苦手は、実際にあった場面から書き出します。
自分でできる工夫と、職場に頼みたい配慮を分けます。
実習や就職後にわかったことも、メモに足します。

「得意なことが思いつかない」と感じる人もいます。反対に、苦手なことばかり並ぶ人もいるでしょう。ここでは、人としての良し悪しは採点しません。

書き出すのは、仕事を進める時の具体的な条件です。伝え方や場所も、一緒に見ていきます。相談や面接に持っていける形にまとめます。

発達障害の就職で、自己理解は何を整理しますか?

得意・苦手と、自分の工夫や希望する配慮を整理します。

発達障害の就職で、自己理解は何を整理しますか?

厚生労働省は、就労パスポートを案内しています。働く時の特徴を、支援者とまとめる道具です。強みや希望する配慮を、職場に伝えるために使います。

病名だけを詳しく書くことが、自己理解ではありません。「どんな時に進めやすいか」を書いてみます。「何があると止まるか」も並べます。

困りごとは、本人の特性と環境を合わせて考えます。仕事の進め方や周りの仕組みも振り返ります。

自分への評価を、働く条件に変える

B-GO!の整理図:決めつけから具体へ

決めつけ

自分は仕事が苦手

何が起きたかが見えない

場面に分ける

口頭の指示で迷った

紙の手順なら進められた

病名ではなく、仕事と環境の組み合わせを書く。

働きやすさは、作業と環境の組み合わせで変わります。本人の努力だけで結論を出さずに整理します。

たとえば「集中できない」で終えない書き方です。周りの話し声があったか、指示が重なったかを書きます。その時の作業も、短く添えます。

反対に、うまくできた時の条件も残します。静かな場所だったか、見本があったかを思い出します。得意を生かす手がかりにも目を向けます。

最後に、働く上で大事にしたいことを書きます。仕事の内容、通い方、休み方などです。できることだけで、希望を消さずに並べてください。

発達障害の就職へ、自己理解は何から始めますか?

学校や仕事などで、実際にあった場面から始めます。

発達障害の就職へ、自己理解は何から始めますか?

就労パスポートの資料は、学校などの経験も扱います。職場で働いた経験がなくても、書く材料はあります。福祉サービスで取り組んだことも振り返れます。

最初から、きれいな自己紹介を作らなくて大丈夫です。課題を仕上げた時や、作業で止まった時を選びます。覚えている場面を、そのまま書きます。

書く順は「したこと」「周りの条件」「結果」です。感想は、出来事と分けて添えます。自分を責める言葉より、見えたことを残します。

経験をメモに変える流れ

B-GO!の書き出し手順

場面を選ぶ

何をしていたか

条件を書く

指示・場所・助け

結果を残す

進んだ所・止まった所

記入例なら「見本を見て、書類をそろえた」です。次に「途中で追加の指示が入った」と続けます。「どちらを先にするか迷った」と結果を書きます。

ここで「段取りが悪い」とまとめ直さずに残します。困ったのは、作業の順が変わった所です。相談する時も、その場面を話の入口にできます。

うまくいった場面も、同じ形で書きます。「終わりの形が見えていた」などです。助けがあったなら、その助けも消さずに書きます。

家族や支援者に聞くなら、出来事をたずねます。「どんな仕事が向く?」だけにしない聞き方です。「手が止まったのはどこ?」と具体的に聞きます。

厚生労働省も、本人をよく知る人への相談を挙げます。専門家や家族から、支えるコツを聞く方法です。自分の実感と、周りが見た様子を並べてみます。

周りの見方と違う所は、急いでそろえなくてよいです。「できたが、かなり疲れた」も残します。外から見える結果と、自分の負担を分けて書きます。

発達障害の自己理解で、得意はどう見つけますか?

うまくできた作業と、それを支えた条件を探します。

発達障害の自己理解で、得意はどう見つけますか?

就労パスポートには、仕事で伝える強みの項目があります。特別な資格や、目立つ成果だけを探さずに書きます。作業の中で、進めやすかった部分も拾ってみます。

「まじめ」「几帳面」だけでは、仕事が見えません。「見本と見比べて、違いを見つけた」と書きます。何をしたかがわかる言葉に置き換えます。

好きなことと、仕事でできることも分けてみます。興味はあるが、助けがいる作業もあるでしょう。その助けまで書いた上で、希望として残せます。

得意を伝えるための比べ表

B-GO!の記入例:性格の言葉を作業へ

元の言葉作業で書く条件も添える
几帳面見本との違いを探す見比べる見本がある
集中する目の前の作業を進める途中の声かけを減らす
覚えるのが得意決まった手順を再現する先に手順を見ておく

表の文は、自分の経験に合う所を書き換えます。「見本があっても迷う」なら、そのまま残します。表の項目に、自分を合わせる作業にはしません。

助けがあった成果も、得意の材料として書けます。「支援者が順を示すと、正確に進められた」などです。成果と助けを、別々の欄に置いてみます。

厚生労働省の解説には、視覚で伝える工夫があります。手順を示したり、見本を見せたりする方法です。自分にも合った方法なら、条件の欄に足します。

「早くできる」と「正確にできる」も分けます。急ぐとつらいなら、速さだけを強みにしません。見直しまでふくめて、何ができたかを書きます。

仕事を選ぶ時は、この条件を求人と並べます。作業の名前だけでなく、進め方にも目を向けます。自分の強みが出る条件を、確かめる材料にします。

発達障害の自己理解で、苦手と疲れはどう分けますか?

作業で困る所と、音などの環境や体調を分けます。

発達障害の自己理解で、苦手と疲れはどう分けますか?

就労パスポートの資料は、作業と体調を分けています。指示の受け取り方や、疲れなどを整理する形です。自分のメモでも、同じように欄を分けてみます。

「働くのが苦手」では、範囲が広すぎます。話を聞く所か、作業を始める所かを書きます。途中で切り替える所や、報告する所も分けます。

次に、周りの様子を添えてみます。人の声、機械の音、光、室温などです。厚生労働省にも、感覚面を整える配慮の例があります。

苦手を分ける早見表

B-GO!の記入欄:作業・環境・体調

分ける欄書くこと振り返る問い
作業指示・順番・切り替えどこで手が止まった?
環境音・光・室温・人の動き何が気になった?
体調疲れ・休み方・回復の様子終わった後はどうだった?

作業を終えたかどうかと、負担は別に書きます。「終えたが、帰るころには話せないほど疲れた」などです。できたことと、つらさを同時に残します。

疲れが出た場面では、前後の様子も書いてみます。休憩を取れたか、質問をためていたかを振り返ります。原因を決めず、気づいたことから並べます。

「人が苦手」と書いた時も、場面を細かくします。雑談か、仕事の質問か、急な声かけかを分けます。文字なら伝えやすいかも、書き添えてみます。

まだわからない所は「これから試すこと」と残せます。「できない」にまとめず、次に見る点にします。体験や相談で確かめたい問いとして持っていきます。

体調については、仕事のメモで結論を出しません。主治医に伝えたい変化は、別にまとめておきます。仕事の困りごとと、体の様子を混ぜずに話します。

発達障害の就職で、自分の工夫と配慮はどう分けますか?

自分がすることと、職場に整えてほしいことを分けます。

発達障害の就職で、自分の工夫と配慮はどう分けますか?

自分の工夫なら「指示をメモに書く」などです。職場への希望なら「文字でも指示を受けたい」です。同じ困りごとでも、取り組む側を分けて書けます。

厚生労働省は、紙で指示を渡す例を紹介しています。指示の出し手をそろえる例もあります。作業を細かく分けて伝える工夫も載っています。

配慮を頼む時は、仕事のどこで困るかを先に書きます。その上で、試した工夫と残った困りごとを添えます。「何を変えたいか」を話すための整理です。

誰が何をするかを分ける

B-GO!の役割メモ:指示を受ける場面

自分

受けた指示をメモする

職場

手順と先にする作業を示す

支援者

伝える内容を一緒に整える

自分の工夫だけで、困りごとを抱えこまない。

たとえば「追加の仕事が来ると順番に迷う」です。自分では、今している作業をメモに残します。職場には、先にする作業を示してほしいと伝えます。

配慮の名前がわからなくても、場面から書けます。「口頭の指示を聞きながら覚えるのがつらい」です。その後に「文字でも受け取りたい」と続けます。

合理的配慮は、本人と職場が話し合って整えます。職場に過重な負担とならない範囲で行います。別の方法もふくめ、本人の希望をふまえて話します。

希望の道具だけでなく、目的もメモしておきます。「音の負担を減らして作業したい」などです。目的を伝えた上で、使える方法を話し合います。

自分の工夫を増やすだけの表にはしません。職場の役割も、相談を手伝う人の役割も残します。頼みたいことを、自分の課題に置き換えない整理です。

発達障害の就職で、自己理解をどう伝えますか?

得意な作業、困る場面、希望する配慮を具体的に伝えます。

発達障害の就職で、自己理解をどう伝えますか?

面接で話す内容は、仕事との関係が見える形にします。病名の説明だけを長くする形にはしません。どんな条件なら力を出せるかを、経験と合わせます。

伝える文の例は「見本と照らす作業が得意です」です。「急な追加指示では、順番に迷います」と続けます。「先にする仕事を示してほしいです」と結びます。

自分でしていることも添えてみます。「受けた指示は、メモにして見直します」などです。工夫と配慮を、相手が読み分けられる形にします。

面接に持っていく確認メモ

B-GO!の伝え方チェック

  • 得意に経験を添えたか

    何を、どう進めたかを書く

  • 困る場面が見えるか

    作業と環境を具体的にする

  • 頼みたいことがわかるか

    自分の工夫と分けて書く

採用の場でも、配慮の例が公的資料にあります。支援者の同席や、文字でのやりとりなどです。面接で困ることも、仕事とは分けて整理できます。

たとえば「質問を聞くと、答えがまとまらない」です。「質問の内容を文字でも見たい」と書き添えます。面接を受ける前に伝えたい希望としてまとめます。

就労パスポートは、採用時の必須書類ではありません。本人が望む範囲の相手に、特徴を説明する道具です。作った内容を、すべて見せる形に決めなくてよいです。

自分用の詳しいメモと、相手に伝える内容を分けます。伝える相手、目的、見せたい項目を考えてみます。支援者に頼む時も、自分の希望を先に伝えます。

声に出して読んで、長い所を短くしてみます。支援者には「仕事の場面が浮かぶか」を聞きます。自分の困りごとが消えるほど、削ることはしません。

発達障害の就職前に、自己理解をどう試しますか?

体験実習などで、作業と配慮の組み合わせを確かめます。

発達障害の就職前に、自己理解をどう試しますか?

神奈川では、横浜市が就労支援の流れを示しています。相談の後、体験実習などで仕事との相性を見ます。求職活動や、就職後の支えにもつながる流れです。

体験の前には、確かめたいことをメモにします。「紙の手順があれば進められるか」などです。漠然と、自分に向く仕事を探すだけにしません。

作業の内容と、頼みたい配慮を並べて持っていきます。どんな方法を試すかは、受け入れ先と話します。実際に試した条件も、後で残しておきます。

体験の前後でメモをつなぐ

B-GO!の振り返りの流れ

体験の前

確かめたい条件を決める

体験の中

作業と助けを記録する

体験の後

結果と負担を振り返る

振り返りでは、仕上がった物だけを見ないでください。質問できたか、迷った時に止まれたかも残します。助けを受けた所は、その内容も一緒に書きます。

たとえば「紙の手順で進めたが、変更で迷った」です。次の問いは「変更を文字でも受け取れるか」です。うまくいかなかった所を、次に試す問いへ変えます。

反対に「想像より負担が少なかった」も材料です。周りの音や、指示の出し方はどうだったかを見ます。続けたい条件を、自分のメモに足しておきます。

求人を見る時にも、体験でわかった条件を使います。仕事内容、指示の流れ、相談する相手を並べます。求人票だけで見えない点を、質問としてまとめます。

「事務」「ものづくり」などの名前で決めきりません。体験でできた作業と、支えた条件をもとに考えます。希望する仕事の中で、条件が合うかを見ていきます。

横浜市の支援には、雇用条件を整える段階もあります。体験の記録は、応募先を選ぶ時にも持っていけます。できたことと、頼みたいことを合わせて話します。

発達障害の就職は、手帳がなくても相談できますか?

ハローワークは、障害者手帳がなくても使えます。

発達障害の就職は、手帳がなくても相談できますか?

ハローワークには、障害に詳しい職員や相談員がいます。仕事の情報や、就職について相談できます。障害者向け求人のほか、一般の求人も扱います。

相談には、作りかけの自己理解メモも持っていけます。「得意がまだわからない」と書いたままでも構いません。仕事で困った場面や、希望する働き方を添えます。

手帳についての話と、今の就職の相談は分けます。まず整理したいのが、応募先か、働く条件かを考えます。今困っていることを、相談の入口にしてください。

今の希望から相談を始める

B-GO!の相談先の分け方

今は求人を探したい?

はい

ハローワーク

求人や応募の相談

いいえ

地域の支援機関

ハローワークは、手帳がなくても相談できます。

相談で話したいことは、問いの形にしておきます。「口頭の指示が少ない仕事を探せるか」などです。「支援者と一緒に配慮を整理したい」でもよいです。

自己理解メモには、受けたい支援の希望も添えます。応募の手伝いか、体験か、職場への説明かを書きます。困りごとだけでなく、何を進めたいかも伝えます。

発達障害の自己理解と就職は、どこで相談できますか?

発達障害者支援センターは、就労の相談も扱います。

発達障害の自己理解と就職は、どこで相談できますか?

都道府県や指定都市に、相談の窓口があります。全国一覧から、住む地域の担当を探せます。相談支援、発達支援、就労支援を行っています。

地域によって、支援の内容や予約方法は異なります。全国一覧で所在地と連絡先を見ます。担当の地域と、相談の受け方を確かめてください。

全国の発達障害相談の入口

発達障害者支援センターを探す

地域を選ぶ

全国一覧で住む地域を探す

担当を確認

都道府県・指定都市の担当を見る

相談を申し込む

自己理解や就職の困りごとを伝える

相談で頼みたいことは、短い文で持っていきます。「得意と苦手を、一緒に振り返りたい」です。「就職で伝える配慮を整理したい」でもよいです。

相談前のメモは、完成していなくても使えます。できた場面と、困った場面を一つずつ選びます。相手に見てもらいたい所へ、印を付けます。

求人を探したい時は、ハローワークも使えます。発達の相談と、応募の相談の目的を分けます。今の相談先へ、次に進めたいことを伝えます。

発達障害の就職後、自己理解はどう見直しますか?

仕事や職場でわかったことを足し、配慮を見直します。

発達障害の就職後、自己理解はどう見直しますか?

就労パスポートは、作って終わる道具ではありません。実習や就職後に気づいたことをもとに書き直します。支援者や職場の人と、内容を見直す使い方です。

就職前に想像した条件と、実際を並べてみます。「静かな場所なら進む」は、そのまま使えたでしょうか。仕事の変更や、新しい指示で困る所はないでしょうか。

うまくいった工夫も、忘れずに残します。「変更を文字で受け取ると迷いが減った」などです。続けてほしい配慮を、仕事の場面と合わせて書きます。

持ち帰る自己理解メモ

B-GO!の書き直せる確認メモ

  • できた作業と条件

    続けたい工夫も残す

  • 新しく困った場面

    仕事・環境・体調に分ける

  • 次に話し合いたいこと

    自分の工夫と職場の配慮

困りごとが変わったら、以前の文を責める材料にしません。その時にわかっていたことと、今の様子を分けます。変わった仕事や、周りの条件も添えて話します。

横浜市の就労支援には、就職後の支えもあります。職場への訪問や、個別の相談を行う流れです。職場環境や生活面についても、支える案内があります。

面談では、変えたい点だけでなく、続けたい点も出します。「紙の手順は続けたい」と先に書いておきます。その上で、新しく困った所を話す形にできます。

自己理解は、自分を決まった型に入れる作業ではありません。経験から、働く条件を言葉にしていくために使います。わからなかった所には、新しく気づいたことを足します。

まずは、最近できた作業か、困った場面を書いてみます。周りの条件と、助かったことも添えてください。そのメモを、支援者と働き方を考える入口にできます。

出典

  1. 就労パスポート|厚生労働省|2026年11月5日確認
  2. 就労パスポート 活用の手引き|厚生労働省掲載|2026年11月5日確認
  3. 発達障害の特性(代表例)|厚生労働省|2026年11月5日確認
  4. 発達障害のある方への職場における配慮事例のご紹介|厚生労働省|2026年11月5日確認
  5. 合理的配慮指針|厚生労働省|2026年11月5日確認
  6. 合理的配慮の具体例(指針別表の事例)を含む資料|厚生労働省|2026年11月5日確認
  7. 障害のある方の「働く」を相談する|横浜市|2026年11月5日確認
  8. 障害のある皆様へ|厚生労働省 ハローワークインターネットサービス|2026年11月5日確認
  9. 発達障害者支援センター・一覧|国立障害者リハビリテーションセンター|2026年11月5日確認
  10. 発達障害者支援施策の概要|厚生労働省|2026年11月5日確認
  11. 発達障害者の就労支援|厚生労働省|2026年11月5日確認

編集方針:公的資料と照らし、本文と図を点検しています。