職業準備性とは何か?生活と仕事の準備を分けて考える

職業準備性とは、働くための準備が整った状態です。
働きたいけれど、何から始めるか迷う。作業はできても、通い続けられるか心配。そんな時に使えるのが、職業準備性の考え方です。生活と仕事を分けると、相談したいことが見えてきます。
職業準備性とは、何を表す言葉ですか?
体調や暮らしをふくめ、働くための準備を表します。

読み方は「しょくぎょうじゅんびせい」です。「レディネス」と呼ぶこともあります。働こうとする人の側に、どんな準備があるかを見ます。仕事の技術だけを表す言葉ではありません。
生活面では、体調や生活のリズムを見ます。食事や身だしなみ、お金の使い方も入ります。仕事へ向かい、家に戻るまでを考えると、作業以外にも見る所があります。
職業生活の面では、職場のルールを見ます。人とのやり取りや、作業への向き合い方も入ります。仕事の説明を聞くことや、困った時に伝えることも、働く準備の中にあります。
生活と仕事の準備を分ける
B-GO!の比べ表:作業以外にも目を向ける
| 見る所 | 生活面 | 職業生活の面 |
|---|---|---|
| 主な中身 | 体調・暮らし | ルール・人とのやり取り |
| 書き出すこと | 通う前後の様子 | 作業中に困る場面 |
| 考える支え | 生活や健康の支え | 伝え方や仕事の工夫 |
そのうえで、仕事ごとの知識や技能を見ます。どんな作業に関心があるかも、話す材料になります。資格の有無だけで、働く準備の全体は見えません。
たとえば、パソコンの操作が得意だとします。相談メモには、その得意さを書けます。その横に、説明を聞き取れない時の困りごとも書けます。得意と苦手を、別の欄で考える形です。
苦手な所には、周りの支えを足す考え方があります。自分の力をのばすことと、配慮で補うことを合わせます。自分だけでできることを増やす話に、しぼらないで考えます。
今の自分を短い言葉で表すなら、こう書けます。「得意な作業はある。通うペースは考えたい」。このように分けると、次に話すテーマを選べます。
職業準備性のピラミッドは、何を表しますか?
健康、暮らし、人づき合い、働く習慣、適性を表します。

職業準備性は、ピラミッドの形でも示されます。下の方に健康や日々の暮らしがあります。上の方には、働く習慣や仕事との相性があります。作業だけに目が向くのを防ぐ見方です。
「健康管理」は、体調や食事などのことです。「日常生活管理」は、生活のリズムなどを指します。「対人技能」は、人と関わる時の力です。言葉がかたくても、暮らしの中のことに置きかえられます。
ピラミッドの中身をやさしく読む
上の仕事だけでなく、下の暮らしも見る
| 資料の言葉 | 見ること |
|---|---|
| 職業適性 | 仕事との相性、知識や技能 |
| 基本的労働習慣 | 報告、身だしなみ、ルール |
| 対人技能 | 人との関わり、気持ちへの対処 |
| 日常生活管理 | 生活のリズム、お金、移動 |
| 健康管理 | 体調、食事、薬の管理 |
「基本的労働習慣」には、あいさつや報告が入ります。身だしなみや、職場のルールもふくみます。「職業適性」は、仕事との相性などです。どの欄も、働く生活の違う面を見ています。
ただ、下から順に合格を取る読み方はしません。国のポータルは、同じ基準での線引きに注意を促します。働くための条件は、職場や支えのあり方でも変わるためです。
相談では、図を自分への採点表にしなくて大丈夫です。「暮らしは落ち着いている。報告の仕方を知りたい」。そんなふうに、話したい所を探す地図として読めます。
気になる欄だけでなく、得意な欄にも印を付けられます。続けてできていることは、相談で伝える材料です。その力を、仕事の場でどう使うかも話せます。
できない所を、すべて本人の課題にする読み方も避けます。自分が取り組むことと、周りが支えることを分けます。就職した後も、支えを続けて考える視点があります。
職業準備性では、体調や暮らしの何を見ますか?
体調、食事、生活のリズム、お金や移動を見ます。

体調の面では、自分の調子をどうつかむかを考えます。調子をくずす前に、どんな変化があるでしょうか。自分で気づくことと、人から言われることを分けて書けます。
食事や薬の管理も、資料にある項目です。暮らしの中で困ることがある時は、支え方を考えます。健康の課題には、医療などとのつながりもふくめます。
生活のリズムは、起きる時だけの話ではありません。出かける支度や、活動した後の過ごし方も書けます。仕事へ向かう前と、家へ戻った後を合わせて見てみます。
活動の前後まで書き出す
B-GO!の生活メモ:通う場面と休む場面
出かける前
体調・食事・支度
活動している間
疲れ・休み方・相談
家へ戻った後
休息・余暇・次の支度
移動については、使う交通や道順を書けます。慣れた道と、まだ通ったことのない道を分けます。途中で困った時に、誰へ伝えるかもメモに加えられます。
お金の面では、ふだんの使い方をふり返ります。余暇の過ごし方も、職業準備性の項目です。働いていない時間をどう過ごすかも、生活面の話に入ります。
家族などの手助けがあるなら、その中身も書けます。「支度の声かけがあると、外へ出やすい」などです。手助けを受けてできていることも、今の様子として伝えられます。
健康や生活の課題は、就労の担当だけで抱えません。国の資料も、課題に合う機関とのつながりを挙げています。本人の同意のもとで、支えの様子を伝え合う考え方です。
相談メモの結びには、希望も書いておけます。「作業を始めたいが、帰宅後の疲れが気になる」。困りごとと希望を並べると、話の入り口を作れます。
職業準備性では、人とのやり取りをどう考えますか?
あいさつ、返事、報告や相談、気持ちへの対処を見ます。

人とのやり取りは、会話の多さだけでは見ません。仕事の説明を聞く場面や、終わりを伝える場面があります。どの場面で困るのか、行動に分けて書き出せます。
たとえば「相談が苦手」だけでは、話が広くなります。「作業中の相手に、声をかける所で迷う」。このように書くと、考えたい場面がはっきりします。
報告の中身も、分けて考えられます。終わったことを伝えるのか、困ったことを伝えるのか。聞きたいことがあるのかで、使いたい言葉が変わります。
相談したい場面を言葉にする
B-GO!の整理例:声をかける前の迷いを分ける
困る場面を書く
説明の途中で分からなくなる
伝えたいことを書く
手順をもう一度聞きたい
合う伝え方を考える
言葉やメモで伝える
使う言葉は、短い形で書いておけます。「ここから先を、もう一度教えてください」。「終わりました。次は何をしますか」。自分が伝えたい中身に合う言葉を探す形です。
気持ちへの対処も、対人技能にふくまれます。気持ちをどう整えるかを考える項目です。相談メモには、つらさを感じる場面も書けます。
あわせて、希望する配慮を考えます。自分の特徴と、頼みたいことを分けておく形です。就労パスポートも、そのような話し合いに使う道具です。
たとえば、急に話すと内容がまとまらない時です。「先にメモを書いてから話したい」と書けます。困りごとだけで終わらず、試したい方法を添えられます。
職場のルールや身だしなみも、別に見ていきます。人と話すことが苦手でも、得意な習慣はあるかもしれません。まとめて苦手とせず、項目ごとに自分の様子を見ます。
職業準備性では、仕事との相性をどう見ますか?
作業の体験とふり返りで、得意さや合う条件を探します。

仕事との相性には、知識や技能も関わります。興味や、自分が大事にしたいことも見る材料です。できることだけでなく、やってみたいことも話せます。
まだ体験していない仕事は、想像だけで決めずに残せます。「関心はあるが、作業はまだ試していない」。このように書けば、経験と希望を分けて伝えられます。
体験した後は、作業の名前だけで終わらせません。どんな説明を受け、何を使い、どこで迷ったかを書けます。作業体験や実習のふり返りは、自分を知る材料になります。
作業だけでなく、説明の条件も見る
B-GO!の分け方:体験の中身を残す
説明を受けて、進め方が分かった?
分かりやすかった条件を残す
見本、言葉、作業の順など
迷った所を残す
次に試したい説明も考える
メモには「できた時の条件」を添えられます。「完成した見本を見ながら進められた」などです。自分に合った方法を伝える言葉として使えます。
うまく進まなかった時も、同じ形で書けます。「口頭の説明を聞いたが、途中の順を忘れた」。「次は、手順を見ながら試したい」。次に比べる点まで残す書き方です。
このようなメモは、向き不向きの決めつけを避けます。作業の力と、周りの条件を分けて考えるためです。働く条件は、職場や支えのあり方によっても変わります。
支援者から見えたことも、話し合う材料になります。本人の気づきと、周りの見立てを合わせて整理します。本人が納得して、自分の言葉で伝えられる形を目指します。
病名から、合う仕事を決める書き方はしません。「自分は何が得意で、どんな条件なら取り組めたか」。仕事探しの前には、その中身を集めておけます。
職業準備性を自分で確かめるには、何を書きますか?
得意なこと、困る場面、役立つ支えを書きます。

自分を知る時は、苦手なことだけを並べません。できていることや、周りに伝えたい良さも書きます。就労パスポートは、そうした特徴を整理する道具です。
まず、ふだんの生活で続けていることを探せます。外へ出る支度や、決めた作業などです。仕事の経験がなくても、自分の様子を話す材料はあります。
次に、困りごとを場面に置きかえます。「人が苦手」より「質問する時に言葉が出ない」。「作業が苦手」より「途中で順が分からなくなる」。相談で話したい所を、短く切り分けます。
自分の様子を確かめるメモ
B-GO!の持ち歩き用チェック
できていること
自分でできたことと、得意なこと
困る場面
いつ、何をする時に困るか
役立った支え
声かけ、見本、相談など
まだ試していないこと
これから知りたいことを残す
役立った支えがあれば、同じ欄に書き足せます。「先に予定を聞くと、取りかかりやすかった」などです。自分だけでできた時と、支えがあった時を分けて残せます。
まだ試していない所は、そのまま書いておけます。「できない」と決めず、知りたいこととして残す形です。空欄が気になる時も、経験の有無を言葉にできます。
体調がよかった時だけで、全体をまとめないようにします。国の手引きも、特定の場面にかたよることに触れています。実際の体験や、周りの意見を合わせる考え方です。
自分と支援者の見方が違う時は、場面を比べられます。「どの作業の、どの時の話か」をそろえます。本人の気づきを尊重しながら話し合うことが、手引きにも示されています。
メモの最後には、相談の希望を置けます。「通うペースを考えたい」。「報告の仕方を試したい」。自分が次にしたいことまで書くと、話の軸ができます。
職業準備性を整える時、誰が何を支えますか?
本人の取り組み、職場の配慮、支援者の支えを分けます。

職業準備性は、本人だけの努力で考えるものではありません。受け入れる職場のあり方も関わります。支援者がどのように支えるかも、合わせて見る視点です。
本人の取り組みとしては、自分の様子を伝える形が考えられます。困った場面や、役立った工夫を書き出すことです。支援者と一緒に、自分の特徴を整理する方法もあります。
職場へは、希望する配慮を伝える話になります。「何が苦手か」だけでなく、頼みたいことも並べます。伝えた内容をもとに、関わり方などを話し合う道具があります。
働く準備を支える役割
本人だけで抱えず、役割を分けて話す
本人
希望や、自分の気づきを伝える
職場
働き方や、関わり方を話し合う
支援者
整理や体験、関係先とのつながりを支える
支援者には、体験をふり返る時の役割があります。本人の話と、作業中に見えたことを合わせます。本人に分かる形で説明し、十分に話し合う考え方です。
健康や暮らしの課題には、別の専門の支えも関わります。就職に向けた支援と、生活の支援を分けて相談できます。課題に合う機関がつながることも、公的資料に示されています。
相談メモでは、役割の欄を作る方法があります。「自分で試すこと」と「手伝ってほしいこと」です。誰が何をするのか、まだ決まっていない所も残せます。
家族などに手伝ってもらう時も、中身を分けて書けます。毎日の声かけなのか、相談への同席なのかを記します。自分の希望と、周りの人の考えを並べる形にもできます。
就職した後も、準備や支えを考える場面があります。仕事に合わせて技能を学ぶこともふくまれます。就職前だけで話を閉じず、働き続けるための視点として使えます。
職業準備性とB型・就労選択支援は、どう違いますか?
職業準備性は準備の見方で、B型などは支えの制度です。

職業準備性は、自分の生活や仕事の準備を見る言葉です。それに対し、就労継続支援B型はサービスの名前です。言葉の役割を分けると、制度と自分の課題が混ざりません。
B型は、雇用契約を結んで働くことがむずかしい人を支えます。働く場や作業の場を用意するサービスです。知識や力をのばすための訓練や支えも行います。
そのため、職業準備性に課題があるという言葉だけでは、使う制度は決まりません。自分が希望する働き方と、いる支えを分けて考えます。国は、B型のほかの就労系サービスも案内しています。
準備の見方と、制度の名前を分ける
言葉だけで行き先を決めず、中身を見る
気になる言葉
「職業準備性に課題がある」
分けて考えること
どの場面に、どんな支えがいるか
準備の中身と、希望する働き方を合わせて整理します。
就労選択支援は、働き方を考える時に関わる制度です。就労移行支援やA型・B型を使いたい人が対象に入ります。今それらを使っている人も、対象にふくまれます。
新しくB型を使いたい人は、原則として先に受けます。2025年10月からの扱いです。働く面の課題などを整理するアセスメントが関わります。例外となる道もあります。
すでにB型などを使っている人にも、希望に応じた道があります。更新のたびに、全員が受けるという扱いではありません。2025年9月30日改正の通知に示されています。
制度を考える時も、得意なことや希望を持って話せます。困りごとだけを伝えるより、自分が続けたいことも残せます。自分の特徴を整理する道具も、その話し合いに使えます。
制度のくわしい話は、別の記事に分けています。就労継続支援B型とはと、就労選択支援とはで読めます。申し込みの順は、B型を使い始めるまでの流れにまとめています。
職業準備性は、どこで相談できますか?
地域障害者職業センターで、仕事の相談ができます。

全国の窓口は、雇用支援機構の一覧で探せます。住んでいる都道府県から、近くの窓口を選べます。
職業相談では、得意な作業や困る場面を伝えます。評価や支援の内容は、各センターで案内しています。
相談したいことから窓口を選ぶ
| 相談の中身 | 入口 |
|---|---|
| 作業の得意さや合う条件 | 地域障害者職業センター |
| 働くことと生活の困りごと | 地域の就労相談窓口 |
| B型などの利用手続き | 住んでいる市区町村の障害福祉窓口 |
地域の就労相談窓口は、自治体の案内でも探せます。自治体名と「障害者 就労相談」で検索できます。
たとえば横浜市には、就労支援センターがあります。福祉サービスの利用は、区の担当課が案内します。これは横浜市の例です。自分の地域の案内で、窓口を選びます。
相談メモでは、仕事と制度の希望を分けられます。「合う作業を知りたい」と「B型を使いたい」です。今の支援者や、役立った工夫も添えられます。
職業準備性を整えるため、今日から何をしますか?
生活の様子、得意なこと、頼みたい支えを書き出します。

最初から、すべての欄を埋めようとしなくて大丈夫です。最近の生活や作業で、話しやすい場面を選べます。「うまくできたこと」から書き始める方法もあります。
たとえば、外へ出る支度ができた場面を選びます。自分で進めたことと、手伝ってもらったことを分けます。その時に困った所があれば、横へ書き足せます。
作業のことを書くなら、結果だけで終わらせません。どんな説明や道具が役立ったかも残せます。次に試したいことを添えると、体験をふり返るメモになります。
相談へ持っていく短いメモ
B-GO!の持ち帰り用:自分の言葉で書き足す
自分のこと
やってみたいこと
できていること
困る場面
支えのこと
役立った工夫
手伝ってほしいこと
次に試したいこと
まだ分からない所は「これから知りたい」と残せます。
相談で使う言葉も、先に書いておけます。「作業はやってみたいです」。「説明を聞き返す時に、困っています」。希望と困りごとを分けるだけでも、話す順を作れます。
その後に、頼みたいことを足せます。「自分に合う説明の仕方を考えたいです」などです。何をできるようにしたいか、何を手伝ってほしいかを並べます。
メモを誰かと見る時は、自分の気づきも残します。周りの意見を、そのまま自分の答えにしなくて大丈夫です。本人と支援者が十分に話し合う考え方が、国の手引きにあります。
実際に試して分かったことは、後から書き足せます。以前は困った所に、役立つ方法が見つかることもあります。体験とふり返りを通じて、自分の特徴を整理していきます。
職業準備性は、自分を点数で表すための言葉ではありません。生活と仕事を見わたし、いる支えを考える視点です。自分の希望も一緒に書いて、次の相談の材料にできます。
出典
- 職業準備性(レディネス)とは|発達障害ナビポータル|2021年7月30日掲載・2026年11月5日確認
- 就職を考えている方へ|発達障害ナビポータル|2021年7月30日掲載・2026年11月5日確認
- はじめての障害者雇用・職業準備性概念図|高齢・障害・求職者雇用支援機構|2026年11月5日確認
- 就労パスポート 支援機関向け活用ガイドライン|厚生労働省|掲載版・2026年11月5日確認
- 就労パスポート|厚生労働省|2026年11月5日確認
- 障害者の就労支援対策の状況|厚生労働省|2026年11月5日確認
- 就労選択支援の実施について|厚生労働省|2025年9月30日最終改正・2026年11月5日確認
- 神奈川障害者職業センター(地域窓口の例)|高齢・障害・求職者雇用支援機構|2026年11月5日確認
- 障害のある方の「働く」を相談する|横浜市|2026年11月5日確認
- 障害福祉サービスの利用手続きについて|横浜市|2025年11月13日更新・2026年11月5日確認
- 就労継続支援事業(B型)|横浜市|2026年11月5日確認
- 地域障害者職業センター一覧|高齢・障害・求職者雇用支援機構|2026年11月5日確認
